
2026年の梅雨は例年になく断続的な雨が続き、レインウェアを使用する機会も多かったようです。今回は、その梅雨時期にお客様からいただいた声で多かった「レインウェアを着ていたら内側が濡れていた。これは水漏れではないか?」というお問い合わせについて、メーカーとしての見解をお伝えします。
せっかくのレインウェアを着ているのに内側が濡れてくれば、誰でも「もしかして不良品?」と感じるのは当然です。レインウェアの内側が濡れる原因を実体験を通じて探ります。
着ていた服がビショビショだった

着ていたレインウェアを脱いでみると、着ていた服がびしょ濡れになっている・・・という経験はありませんか?
私は以前、梅雨シーズンの断続的な雨の日、朝の外出時にレインウェアを着用しました。取引先を回るなどの用事があり、そのまま数時間、レインウェアを着たまま屋外で過ごしていました。ようやく会社に戻り、レインウェアを脱ぐと・・・なんと中に着ていたシャツがびしょ濡れ!腕や背中が水分でベッタリと張り付いていたのです。
数時間ほど外出していた結果、シャツが濡れていたわけです。これはレインウェアが不良品で、全体的に水が漏れてきてしまったのでしょうか?それとも別の原因があるのでしょうか?そのメカニズムを詳しく見ていきます。
レインウェアには永遠の課題が2つあります。
それは、「水漏れ」と「蒸れ(ムレ)」です。
レインウェアの不満や不都合な話、課題はたくさんありますが、この2つは他の課題を寄せつけない永遠の課題です。ではなぜ、この課題が生まれるのでしょうか?
実は、レインウェアが雨水を漏らさないよう、生地や縫い目、デザインのあらゆる箇所をしっかり仕立てて「水漏れ」を防ごうとするほど、ウェア内部はサウナスーツのような状態になってしまいます。その結果、少し歩いただけでも汗が出て「蒸れ(ムレ)」が生じてしまう——「水漏れ」を防ぐことが、そのまま「蒸れ」を生む。この切っても切れない関係こそが、レインウェアの永遠の課題なのです。
では、レインウェアを脱いだ時、着ていた服がびしょ濡れになったのは「水漏れ」でしょうか?それとも「蒸れ(ムレ)」でしょうか?
蒸れと水漏れの違い——内側が濡れる本当の理由
結露というメカニズム

内側が濡れる主な原因の多くは、外から雨水が浸入したから(水漏れ)ではなく、体から出た汗(水蒸気)が外気に冷やされてウェアの内側で液化する「結露」によるものです。
仕組みをイメージしてみてください。体温で温められた水蒸気はウェア内部に充満しますが、外側は冷たい雨にさらされています。この温度差によって、水蒸気がウェアの内側の生地面で水滴へと変わります——ちょうど冷たいグラスの表面に水滴がつくのと同じ原理です。
汗の量は想像以上
この現象を考えるうえで見落とせないのが、人体の発汗量です。人間は軽い歩行・作業でも1時間あたり約500gの汗をかくとされています(日本スポーツ協会等の発汗量目安に基づく)。数時間の外出であれば、それだけの水分が体から発生しているわけです。
その疑問に対する回答のひとつが「汗と雨水の温度の違い」でもあります。汗は体内から出るものですから「体温に近い温度の水分」です。一方、雨水は上空から降る水分で「冷たい水分」ですよね。汗の場合は体温に近い温度ですから「存在すらも感じない」かもしれません。一方、雨水は冷たいですから「冷たい」とすぐに反応してしまうかもしれません。外出中を思い返すと、濡れていることすらも感じないという印象で、その水分の存在すらも感じていませんでした。つまり、それは「蒸れ(ムレ)」——結露だったのですね。
高機能素材でも防ぎきれない理由
「透湿性の高い素材なら蒸れないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、どれほど高機能な透湿素材であっても、雨天時は外側の湿度が100%になり、透湿孔が水膜で塞がれてしまいます。そのため、長時間着用時の蒸れは物理的に避けられない側面があります。
レインナビゲーター®の設計思想

レインナビゲーター®は、透湿性の追求ではなく、仕事の現場で確実に「防水」——雨水の浸入を防ぐこと——に振り切った設計思想で作られています(無孔質TPU(熱可塑性ポリウレタン)ラミネート)。防水性能は非常に高い反面、製品の仕様上、使用する状況によっては、いわゆる透湿性ウェアと比較して蒸れが生じる場合があります。これは欠陥ではなく、設計上の特性です。「確実に雨を防ぐ」という点において、この設計は大きな強みを発揮します。
レインナビゲーター®の開発背景については、開発担当者へのインタビュー記事でも詳しくご紹介しています。
製品不良との切り分け方
一方で、滅多に生じるものではありませんが、真の製品不良が存在することも正直にお伝えします。製造工程での不良や、使用による物理的な損傷が原因で水が浸入するケースは実際にあります。
生地の防水加工が不十分であることから生地全体が防水布になっていないことによる全体的な水漏れというケースや、縫い目に施されるテーピングがしっかり縫い目に沿って施されていないケースなど、製造上の初期不良が過去にあったこともあります。
しかし、いずれのケースも、お客様が使用された当日に不良が判明し、ご連絡をいただいております。
「全体的に濡れる」場合の考え方

全体的かつ均一に内側が濡れている場合は、前述の蒸れ(ムレ)によるものかもしれません。
なお、「全体的に水が漏れてきた」というように、生地そのものに欠陥があるとすれば、同じ製造ロットで生産された他の製品にも同様の報告が上がってくるはずです。1着だけに全面的な生地不良が発生することは、生産原理上、非常に考えにくいことです。
「特定箇所からのみ漏れる」場合の考え方

一方、肩・袖口・縫い目など特定の箇所からのみ、繰り返し濡れる場合は、状況が異なります。使用中の物理的な損傷や、縫い目テープの剥がれ・防水加工樹脂の剥離が考えられます。
切り分けの目安:
- 全体的・均一に濡れる → 蒸れ(ムレ)の可能性が高い
- 特定箇所からのみ繰り返し濡れる → 物理的損傷・防水設計の劣化が考えられる
物理的な破損や劣化が見られず、蒸れ(ムレ)によるものでもないのに濡れてしまう場合は、お手数ですがトキワまでご相談ください。同じ製造ロットにおける問題の報告がない場合は、個別の検査を行うことも可能です(使用状況等により有償での検査となる場合がございます)。
もし新品購入したばかり(商品到着後7日以内)の製品でこのような問題が生じる場合は、早めにご連絡ください。なお、複数回ご使用いただいた後の商品につきましては、返品・交換をお受けできませんので、あらかじめご了承ください。
水漏れか蒸れかを見分けるセルフチェック
「これは水漏れかもしれない」と感じたときは、ご自身で切り分けてみることをおすすめします。次の4点を振り返ると、蒸れ(ムレ)と水漏れのどちらの可能性が高いかを見分けやすくなります。
- 使用回数:これまで何回ほど着用したか。長く使うほど、生地や加工は少しずつ経年変化していきます。
- 濡れた箇所:全体的・均一に濡れているか、それとも肩・袖口・縫い目など特定の箇所からか。全体的・均一であれば蒸れの可能性が高く、特定箇所からの繰り返しであれば物理的な損傷が考えられます。
- 洗濯方法:これまでどのように洗濯・お手入れをしてきたか。撥水加工は洗濯や経年で弱まることがあります。
- 保管方法:直射日光・高温多湿を避けて保管できていたか。
これらを振り返っても蒸れでは説明がつかず、特定の箇所から繰り返し濡れてしまう場合は、物理的な損傷や防水加工の劣化が疑われます。
蒸れを和らげるためにできること
レインウェアも防水製品である以上、蒸れへの対策はウェアの外——インナーの選択や着方——で行うことが基本となります。以下の方法をぜひ参考にしてください。
①インナーの選択:吸汗速乾素材のレイヤリング
インナーにポリエステルなど吸汗速乾性の高い素材を着用するレイヤリングが、肌への蒸れによる不快感を大きく軽減します。汗を素早く吸い上げて拡散させる素材を選ぶことで、肌面の濡れ感を抑えることができます。綿素材は汗を吸収しても乾きにくいため、雨天時の着用には向きません。
②総裏メッシュが肌への張り付きを軽減

内側にメッシュ素材を採用しているレインウェアは、ウェア内側の生地が直接肌に張り付く不快感を軽減できます。レインナビゲーター®に代表されるトキワのレインウェアの多くは総裏メッシュ仕様となっており、長時間着用時の着心地改善に寄与しています。
また、このメッシュには防水樹脂加工を直接肌や衣服との接触・摩擦から保護する役割もあり、防水樹脂加工の耐久性向上にも寄与しています。とはいえ、過信は禁物です。鋭利なものや硬質なものが当たることで防水樹脂加工が破損・剥離し、そこから雨が浸入してしまう可能性はあり得ますので、ご注意ください。
③適宜脱いで換気する

長時間の連続着用を避けられる状況では、適宜レインウェアを脱いで換気することをお勧めします。雨が一時的に弱まった際や、屋内に入った際に少し脱いで風を通すだけでも、内部環境が大きく改善されます。
メーカーとしての考え方

レインウェアは防水製品としての性質から、高機能な透湿素材であっても環境によって蒸れ(ムレ)が発生する場合があります。しかしそれはウェアが「確実に雨を防ぐ」という本来の役割を果たしている証でもあります。
トキワのレインナビゲーター®は着心地が柔らかく長時間着用されやすい製品ですので、インナー選びとあわせてご活用いただくことで、より快適にお使いいただけます。
よくあるご質問(FAQ)

Q. レインウェアを着て歩いたら内側が濡れていました。これは不良品ですか?
A. 多くの場合、蒸れ(結露)によるものです。長時間着用や活動量が多い場合、体温から発生した水蒸気が内側で液化する場合があります。これは設計上の特性であり、製品不良ではありません。
Q. 本当に水漏れかどうか、自分で判断できますか?
A. 内側の濡れが「全体的かつ均一」であれば蒸れである可能性が高いです。「特定箇所(肩・縫い目・袖口など)からのみ繰り返し濡れる」場合は、物理的な損傷が考えられます。
その他、水漏れの場合は雨水の水温の冷たさを実感し、漏れた瞬間に違和感を感じるのに対し、蒸れ(ムレ)の場合は体温に近いこともあり、違和感を感じずに着用し続けてしまいます。
Q. 撥水加工は時間が経つと落ちますか?
A. 撥水加工は使用・洗濯により経年で効果が弱まる場合があります。洗濯(手洗い)後の低温アイロンやドライヤーの温風で撥水性能を回復できます。
Q. 製品不良が疑われる場合、どう対応してもらえますか?
A. ご購入時の納品書・タグ等をご準備のうえ、ご購入先へお問い合わせください。
Q. 保証や修理対応はありますか?
A. 製品保証の詳細については、ご購入先にご確認ください。
もし製品不良が疑われるとき、どこに問い合わせればよいか
物理的な損傷や不良が疑われる場合は、まず「ご購入いただいた店舗」へご相談ください。レインナビゲーター®をはじめとしたトキワのレインウェアは、トキワが直接販売するほか、さまざまな販売店・取扱店を通じてお届けしています。窓口によってお手続きの状況が異なるため、次のように切り分けてご連絡ください。
購入いただいた店舗へお問い合わせ下さい
- 販売店・取扱店でご購入頂いた場合
- 各種ECモール(トキワのオンラインショップ以外のサイト)でご購入いただいた場合
トキワへお問合せ下さい
- 法人向けに一括で直接ご購入いただいた場合
- トキワのオンラインショップでご購入いただいた場合
お問い合わせの際にお伝えいただきたいこと
状況をより正確に確認し、スムーズにご案内するために、お問い合わせの際は次の点をあわせてお知らせください。手元でわかる範囲で構いません。
- 商品名・品番:お手元の製品の商品名と品番。
- ご購入時期:いつ頃ご購入いただいたか。
- ご注文番号(可能な場合):ご注文明細やレシートなどに記載の注文番号。
- ご使用回数:これまで何回ほど着用されたか。
- 濡れた箇所:どこから水が入ってきたか(肩・袖口・縫い目・背中など)。
- 濡れたときの状況:着用時間や活動内容など、どのような状況で濡れたか。
- 洗濯方法:これまでのお手入れ方法。洗濯機のご使用は生地の撥水性や防水加工の剥離に繋がり、防水性を著しく損なう恐れがあるため、お避けいただき、手洗いを推奨させていただいております。
- 保管方法:高温になる場所や直射日光を避けて保管できていたか。


