令和5年4月1日より自転車のヘルメット着用努力義務が課されるようになり、通勤や訪問移動などのビジネスシーンでは多くの方がヘルメットを着用されるようになりました。自転車の交通事故は近年増加傾向にあるため、頭部の致命傷を防ぐ上でヘルメットは欠かせません。また近年、通勤や訪問・デリバリー等の業務における原付自転車(バイク)の事故も増加しています。

今回は警察庁の交通事故に関する資料(令和5年)をもとに、トキワがレインウェアメーカーとして交通事故についてどのように考えているかをお伝えしたいと思います。

令和5年における交通事故の発生状況について

出典:令和5年における交通事故の発生状況等について(警察庁)

令和5年度における交通事故死者数は前年比68人増の2678人。前年比増となるのは平成27年以来8年ぶりです。また、重傷者数においても1,609人増の27,636人。こちらも前年比増となるのは、実に平成12年以来23年ぶりということで、長年減少傾向にあった死者数、重傷者数は令和5年度増加へ転じました。

出典:令和5年における交通事故の発生状況等について(警察庁)

状態別死者数では、全年齢で「自動車乗車中」は減少する一方、「自転車乗車中」「二輪乗車中」「歩行中」が増加しました。中でも自転車が交通事故増加に影響をしていることが分かります。

今回は、自転車と交通事故についての状況を確認しながら、事故が増える雨の日の自転車移動、特に仕事での自転車移動をされる方々の身を守るために必要なことを解説します。

自転車ヘルメット着用の努力義務について

出典:令和5年における交通事故の発生状況等について(警察庁)

令和5年4月1日。道路交通法の一部改正により、全ての自転車利用者に対し、自転車のヘルメット着用努力義務が課されることになりました。施行から1年が経ち、行政関係の方々の着用は定着した一方、努力義務ということもありまだまだ一般の方々の着用が定着していない現実があります。 

そもそも、ヘルメット着用の努力義務が課せられることになった背景には何があるのでしょうか。それには自転車関連交通事故の状況を確認することで理解することができます。

自転車乗車中死者の約半数が「頭部」を損傷という結果が出ています。半数ですから、自転車乗車中死者は、圧倒的に頭部損傷ということになり、その内、9割はヘルメットを着用していなかったという結果が出ています。これらのことから、自転車ヘルメット着用の努力義務が課せられることになった背景を理解することができます。同様に、かつての「シートベルト着装」に見られたように、いずれこの「努力義務」は「義務」に変わると察します。

東京都(都心部)の交通事情

トキワの会社がある東京都において自転車事故は2020年から毎年増加傾向にあります。

2020年は新型コロナウイルス感染症拡大防止からのステイホームによるフードデリバリー需要が拡大しました。これにより各ご家庭へ自転車で配達をする方々が増えたことや、公共交通機関での移動による三密回避の通勤・通学の自転車移動が増加しました。そして、2023年7月1日より電動キックボードの法改正で免許なしでもキックボードに乗れるようになったことで、利用者が増加しました。

これらのことから都内の道路は、車やバス以外の乗り物も増加したことで一気に交通量が増しました。一方で、様々な乗り物が行き交う道路の幅や広さは以前と変わらない状況です。

私たちは日頃、移動では電車・地下鉄などの公共交通機関を利用しますが、場所によっては自転車を利用することもあります。自転車に乗って移動していると、車道を車やバイクと共に走る為、危険です。道路によっては自転車専用レーンがあるところもありますが、全てではない為、走行中も窮屈さを感じます。

自転車で会社に来られる取引先との会話でも近年の交通量の増加で移動中に身の危険を感じることが増えたと言われます。

雨の日の自転車移動で気をつけたいこと

車、バスだけでなく自転車、電動付きキックボードなど様々な乗り物が行き交う混雑した都内の道路事情。特に雨の中、仕事でバイク・自転車などで移動をしなくてはならない方々には、どのようなことに注意をはらい、気を付けて頂きたいか。事故が多くなる雨の日だからこそ安全に事故のない移動をして頂きたいという思いをこめて考えてみたいと思います。

安全運転

雨の日は、雨量・スピード・路面の状況(アスファルトよりもコンクリートの方が滑りやすい等)など様々な要因で晴天時と違い、路面が滑ります。その為、スピードを減速し、急発進・急ハンドル・急ブレーキといった急な操作を控えることでスリップなどの転倒を回避することができます。

車と同じで雨の日は制動距離(ブレーキをかけてから止まるまでの距離)が伸びます。濡れた路面の場合、乾燥時と比べて1.5倍~2倍も制動距離が伸びるため、スピードを落としていつもより余裕のある運転を心がけてください。

また、雨の日は、薄暗く視界が悪い状態です。見通しもつかないことから、ついつい俯きがちになってしまいます。周囲の状況に十分注意をしながら運転をして頂きたいと思います。

身につけるもの

「安全運転」に気をつけながらも、もしものスリップ転倒時に頭部損傷を回避する為にもヘルメットは着用していただきたいです。ヘルメット非着用時の致死率は着用時の1.9倍という調査結果も出ています。

そして、雨の日ということでレインウエアが必要です。レインウエアのカラーはドライバー・歩行者に自らの存在を認識してもらえるような視認性のあるカラーで、反射材が付いていれば、更に視認性も高まり、事故を防ぐことができます。

トキワの定番レインウエア・ファミネットアジャスターのカラー展開は全て視認性のあるカラー展開になっており、中でもターコイズ・オレンジ・イエローにはヘルメットの上から被れるビッグフードがオプションでご用意しております。

まとめ

今回は、警視庁の交通事故に関する資料をもとに令和5年4月1日に施行された自転車乗車時のヘルメット着用努力義務の背景や都内の交通事情、交通事故が増加する雨の日において、気をつけてもらいたいことをお伝えしました。

加えて、今年(2024年)5月17日。自転車の交通違反を反則金制度(青切符)の対象にする改正道路交通法が参院本会議で可決、成立しました。これにより「~ながら運転」をはじめとする自転車の交通違反に対し、2年以内に罰金が科されるようになります。社会全体で交通ルールの遵守を心がけることで、安心して通行できる道路環境の実現が望まれています。

実は、SDGs Goal3「すべての人に健康と福祉を」の中には13のターゲットがあり、その中に「世界の道路交通事故による死傷者を半減させる」という交通安全に関するターゲットが含まれており、世界各国で交通事故を減らす取り組みがなされています。ヘルメットの着用も日本国内の交通事故による死傷者を半減させる取り組みの一環です。

デリバリーや移動・訪問など、業務でレインウェアを使用する事業者においては、ヘルメット着用とともに雨の日における安全性の高いレインウエアを会社として支給して頂き、従業員の方々の身の安全を会社全体で守ってあげて頂きたいと願っています。