雨の日のデリバリー、お客様先への訪問、屋外での作業…。天候に関わらず、私たちの仕事は待ってくれません。そんな時、体を雨から守ってくれるレインウェアは必要不可欠な仕事道具です。

しかし、こんな不満を感じたことはありませんか?

  • 「生地がゴワゴワして、体を動かしにくい…」
  • 「重くて肩が凝るし、長時間着ているとドッと疲れる」
  • 「使っているうちに硬くなって、折り目から破れてしまった」

雨の日の不快感、その原因は「蒸れ」だけではありません。ウェアの「重さ」や「硬さ」といった『着心地』も、仕事のパフォーマンスを大きく左右する重要な要素です。

そして、その着心地を決定づけるのが、ウェアの「素材」です。今回は、レインウェアの代表的な素材「PVC」と「TPU(熱可塑性ポリウレタン)」を比較しながら、レインウェアの快適性について深掘りしていきます。

【高い防水性と経済性】スタンダードな「PVC(塩化ビニール)」

PVC素材の例

市場に最も出回り、多くの現場で使われているのが「PVC(ポリ塩化ビニール)」です。生地の裏面にポリ塩化ビニール樹脂を加工したもので、その歴史と実績が信頼性を物語っています。

PVCの長所

  • 非常に高い防水性:
    生地表面を樹脂で完全に覆うため、水の浸入を物理的にシャットアウトします。強い雨や水しぶきがかかる環境でも、水が染み込む心配がありません。
  • 優れたコストパフォーマンス:
    製造技術が確立されており安価で手に入れることができます。
  • お手入れが簡単:
    汚れが付着しても水で洗い流しやすく、メンテナンス性に優れています。

PVCの課題

防水の信頼性の反面、素材の特性上、どうしても「重く」「硬く」なりがちです。短時間の着用なら気にならなくても、一日中着て作業するとなると、その重さやゴワゴワ感が体の負担としてのしかかってきます。また、経年や低温環境で柔軟性が失われ、硬化しやすいという側面もあります。また、全てのPVCではありませんが、生産・使用・廃棄と全ての過程において、環境負荷をかけることが問題視されています。

【快適性と動きやすさ】新世代のスタンダード「TPUラミネート」

TPUラミネートを採用したレインナビゲーターの防水布

一方、「快適性」や「動きやすさ」をより重視する声に応える形で登場し、新たなスタンダードとなりつつあるのが「TPUラミネート」です。

これは、TPU(熱可塑性ポリウレタン)という素材を非常に薄いフィルム状にし、生地の裏側に貼り合わせた(ラミネートした)ものです。

まず知ってほしいTPUの多様性

以前のコラム記事(レインウェアの蒸れ対策。「透湿性」の高いレインウェアは、その効果や価値が本当に発揮できているか?)でも解説した通り、ポリウレタン素材(TPUはその一種)には、「透湿性(蒸れにくさ)」を特徴とするものが多く存在します。これは、水蒸気を通す微細な孔(あな)を持つ「多孔質フィルム」を使ったタイプで、主にアウトドアウェアなどでその機能が重宝されています。

一方で、孔が一切ない「無孔質フィルム」を使い、「防水性」を極限まで高めることを目的としたタイプもあります。

トキワが「無孔質TPU」をあえて選ぶ理由

トキワは、レインウェアが業務で用いられる現場では、何よりもまず『濡れない』という安心感が最優先されるべきだと考えています。

透湿性は確かに快適な機能ですが、その効果には個人差があり明確にできず、また生地の汚れや劣化によってその性能が100%発揮されない状況も起こりえます。そこで私たちは、プロの皆様に常に安定した性能を提供するため、あえて透湿性を持たない「無孔質フィルム」のTPUラミネートを厳選して採用しています。

「それだとPVCと同じなのでは?」と思われるかもしれません。しかし、TPUには、PVCにはない決定的なメリットが存在します。

TPUの真価:「軽さ」「しなやかさ」「耐久性」

TPUラミネートを採用したレインナビゲーターの防水布

圧倒的な軽さ

TPUフィルムはPVCラミネートに比べて非常に薄く軽量です。この素材の違いが、ウエアとなった際に長時間の着用における疲労感を劇的に軽減します。

抜群の柔軟性

ゴムのようにしなやかな性質を持つため、生地がゴワつかず、体の動きにスムーズに追従します。かがんだり、腕を伸ばしたりといった作業の妨げになりません。

優れた耐久性

TPUを含むポリウレタン素材は、保管状況によって汗や洗濯時に付着した水分が「加水分解」という化学反応を起こし劣化する特性があります。しかし、PVCの「低温下での硬化や、経年によるひび割れ」と比較した場合、TPUはしなやかさが長持ちするという点で、実用上の耐久性に優れています。もちろん、高温多湿を避けて保管いただくことで、その性能はさらに長く維持されます。

つまりトキワのTPUウェアは、「濡れない」という必須条件を高いレベルで満たした上で、PVCの弱点であった「重い・硬い」を克服し、別次元の『快適な着心地』を実現しているのです。長時間の着用が想定されるデリバリーや訪問業務、農業などで、防水と動きやすさを両立したい場面で、その真価を最大限に発揮します。この違いはPVCウエアとTPUウエアの双方に触れて比較していただければ一目瞭然です。

一目でわかる!あなたの仕事に合うのはどっち?TPU vs PVC 性能比較

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性能項目TPUラミネート
(無孔質タイプ)
PVCラミネート
軽量性◎(非常に軽い)△(しっかりとした重厚感)
柔軟性(動きやすさ)◎(しなやかで柔らかい)△(丈夫でハリがある)
防水性◎(非常に高い防水性)◎(非常に高い防水性)
経済性(価格)◯(バランスが良い)◎(非常に安価)

どちらか一方が絶対的に優れているわけではありません。「快適性を重視するならTPU」「コスト重視でPVC」というように、働く環境や作業内容に合わせて「適材適所」で選ぶことが、最も賢い選択と言えます。

働くあなたの新たな選択肢。トキワの新製品「レインナビゲーター」

レインナビゲーターの構造

トキワでは、コストパフォーマンスに優れたPVC製から、今回ご紹介した高機能なTPU製まで、お客様の多様なニーズにお応えする幅広いラインナップをご用意しております。

そして、アクティブな動きや長時間の着用が求められるプロフェッショナルの皆様へ、私たちが自信を持ってお届けするのが、2026年2月〜3月一般販売開始予定の新製品「レインナビゲーター」です。

「レインナビゲーター」は、高性能なTPUラミネートを採用することで、これまでのレインウェアの常識を覆すほどの快適性と運動性を実現しました。耐水圧26,000mm以上の性能はもちろん、ユニフォームとして導入しやすいよう、コストと性能のバランスの良い2レイヤー(2層)のTPUラミネートにメッシュ層を加えた構造を採用しています。

  • 長時間のデリバリー業務で…
    汗によるベタつきや汗冷えを大幅に軽減(裏地に高級メッシュ使用)。常にドライな着心地で、安全運転と業務に集中できます。
  • お客様先への訪問や着脱の際も…
    驚くほど軽量でしなやかな生地が、スムーズな動きをサポート。お客様の前でスマートに、ストレスなく着脱できます。
  • 介護の現場でも…
    かがんだりする動作を妨げません。静かで柔らかな生地は、利用者様に不快感を与えることもありません。

またレインナビゲーターは、これまでの一般的なレインウエアとは異なり密度の高いポリエステル(TPUラミネート)素材を使用することで、C0(フッ素フリー)でありながら、従来品よりも高い撥水性能を有しています。SDGsの観点で注目されているC0についてはこちらの記事で解説しています。

雨の日の仕事を「我慢の時間」から「快適な時間」へ。「レインナビゲーター」が、プロフェッショナルの皆様の新たな選択肢となります。

よくある質問(FAQ)

レインナビゲーターは「透湿性のある」TPUではなく「透湿性のない」TPUを採用したのですか?

レインウェアが必要な現場では、いかなる状況でも「絶対に濡れない」という信頼性が何よりも優先されるとトキワは考えているからです。 透湿性は確かに快適な機能ですが、その効果には個人差があり明確にできず、また生地の汚れや経年により性能が落ちることは確実です。私たちは、プロの皆様に常に安定した最高の防水性能を提供するためには「透湿性のない」TPUフィルムを厳選して採用し、「濡れない」という基本性能を極限まで追求しているからです。

透湿性がないなら、結局PVCと同じように蒸れるのではないでしょうか?

TPUの寿命はどれくらいですか?PVCと比べて本当に長持ちしますか?

結局、私にはTPUとPVC、どちらが合っていますか?

まとめ:正しい素材選びが、雨の日の仕事を変える

レインウェア選びは、価格やデザインだけでなく、「素材」の特性を理解することが使用目的からしても非常に重要です。

トキワはこれからも、働くすべての人々が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、用途に応じた最適なレインウェアをご提案してまいります。

「レインナビゲーター」をはじめとするトキワのTPU製品は、私たちの哲学の結晶です。「濡れない」という大前提を守り抜き、その上で、プロが求める最高のパフォーマンスを「軽さ」と「動きやすさ」でサポートします。

「レインナビゲーター」は2026年2月〜3月一般販売開始予定です。
製品の仕様など、ご質問などがございましたらお気軽にお問合せ下さい。