株式会社トキワ|レインウェアに、熱中症対策を求めすぎない(アイスベストという「冷やす役割分担」)

梅雨明け後は気温が急上昇し、熱中症のリスクが一気に高まる時期です。雨が体に入ってこないことと、体感が暑く感じることは、決して矛盾するものではありません。夏季はもともと気温が高いことに加え、雨天時は湿度が上昇し、さらにレインウェアを着用することで内側に蒸れが生じるため、熱中症のリスクはむしろ高まります。レインウェアを着用しながら長時間業務にあたる以上、この暑さとしっかり向き合う必要があります。

株式会社トキワ|レインウェア着用時の熱中症対策を象徴するイメージイラスト

高温な季節における雨天時の熱中症対策について、透湿性などのレインウェアの機能で解決しようとするのではなく、レインウェア以外の熱中症対策グッズと併せて対応されることをおすすめします。レインウェアの目的は「防水性」。雨水をウェアの中に入れないよう防ぐことであり、防水性と涼しさ(通気性)を同時に高いレベルで両立させることは、構造上難しいのが実情です。

本記事では、高温な雨天時、レインウェアと併せて着こなす熱中症対策製品をご紹介していきます。

職場における熱中症の実態と、事業者に求められる対応

株式会社トキワ|職場における熱中症の実態と、事業者に求められる対応を表すイラスト(レインウェア)

実際、2025年の職場における熱中症による死傷者数は1,803人にのぼり、前年比で43%増という高い水準で推移しています(厚生労働省の統計に基づく/参考文献参照)。

こうした状況を受け、労働安全衛生規則の改正により、事業者には熱中症の早期発見や重篤化防止のための措置手順の作成などが義務化されました(厚生労働省の労働安全衛生規則の指針に基づく)。雨天・炎天下を問わず、熱中症対策は現場の安全管理担当者にとって避けて通れないテーマとなっています。熱中症対策の基本的な考え方については、前回記事(熱中症対策の基本)でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

空調服は熱中症対策の要。効果を発揮するために押さえたい留意点

株式会社トキワ|空調服は熱中症対策の要。効果を発揮するために押さえたい留意点を表すイラスト(レインウェア)

熱中症対策グッズの中でも、最も高い効果があるとされているのが空調服です。ウェア内に取り付けたファンが外気を取り込み、体表に風の通り道をつくることで、汗の気化を促します。ここで期待されているのは、空気そのものを冷やす機能ではなく「通気性」です。電動ファンを持たないウェアと比べて格段に高い通気性が確保され、その結果として気化熱が働き、体感温度が下がっていく——という順序で効いています。

一方で、空調服にはいくつか押さえておきたい留意点もあります。強風環境では、ファンが取り込んだ風の循環が乱れてしまい、本来の通気性が活かされにくい場合があります。また、静音性が求められる環境では、ファンの駆動音が気になるという声も聞かれます。こうした条件下では、電源を切るなど使い方に配慮が必要になることもあるようです。

とはいえ、これらはあくまで一部の現場で見られる傾向であり、空調服そのものの効果を否定するものではありません。熱中症対策としての基本は空調服にありつつ、現場の環境に応じて使い方や組み合わせを工夫することが、対策グッズ選びの出発点になります。

ヘルメット内保冷剤やアイスリングで「一部しか冷えない」と感じた過去の試行錯誤

株式会社トキワ|ヘルメット内保冷剤やアイスリングで「一部しか冷えない」と感じた過去の試行錯誤を表すイラスト(レインウェア・熱中症)

業務用の熱中症対策として、過去にヘルメット内保冷剤やアイスリング単体での運用を検討したことがあります。しかし現場からは「一部しか冷えず効果が薄い」という評価が返ってきました。

ヘルメット内保冷剤は、頭部の一点を冷やすにとどまり、全身の体温上昇には対応しきれません。アイスリングも単体で使用した場合、首元という限られた範囲しか冷やせないうえ、ごく短時間で冷却機能が失われてしまうという課題がありました。誇張せずに申し上げると、業務利用の現場でこれらを単体で使用した場合、「ないよりはまし」程度の効果にとどまることが多く、決定打にはなりませんでした。

この経験があったからこそ、次にご紹介する「体幹をしっかり冷やす」という発想にたどり着きました。

体幹を冷やすアイスベスト。持続力のある冷却で長時間の業務を支える

株式会社トキワ|体幹を冷やすアイスベスト。持続力のある冷却で長時間の業務を支えるを表すイラスト(レインウェア・熱中症)

体温上昇を防ぐには、脇の下や背中といった太い血管が通る体幹(面)を冷やすことが効果的とされています。保冷剤を挿入するタイプのアイスベストは、空調服のように電源やファンを必要としません。強風環境や静音性が求められる環境でも使いやすいのは、この「電源・ファン不要」という特性によるものです。また、アイスリングと比較して保冷持続時間が長いことも特長の一つです。価格帯によって性能差はありますが、長時間持続タイプでは保冷剤が10時間以上持続するものもあり、長時間の屋外業務でも安定した冷却効果が期待できます。

ここで、装備選びの一つの有効な工夫をご紹介します。それは、レインウェアには防水を、アイスベストには冷却を任せる、という考え方です。1着のウェアにすべてを求めず、役割を分担するというシンプルな発想です。レインウェアはあくまで雨水の浸入を防ぐための道具であり、体温管理は別のレイヤーで行う。長時間にわたって体幹をしっかり冷やせるアイスベストを組み合わせることで、この整理ができると、装備選びの迷いはぐっと減ります。

屋外業務向けアイテムを選ぶときに確認したい3つの視点

株式会社トキワ|屋外業務向けアイテムを選ぶときに確認したい3つの視点を表すイラスト(レインウェア・熱中症)

現場に導入するアイテムを選ぶ際は、以下の汎用的な視点から検討しましょう。

  • 電源・ファン不要で、静音環境や強風環境でも使えるか

ゴルフ場のような静音性重視の現場、デリバリーのような強風下の現場、それぞれで機能が損なわれないかを確認しましょう。水濡れのリスクがある雨天時でも安全に使用できる構造であるかが重要です。

  • 保冷剤の交換・持続時間が業務時間に見合うか

保冷剤の効果が持続する時間が、1回の屋外作業時間や休憩サイクルに合致しているかの確認が必要です。長時間の業務では、予備の保冷剤を保管・交換できる環境があるかも重要な選定ポイントです。

  • レインウェアの下に着用してもフィット感を損なわないサイズ感か

レインウェアと重ね着することを前提に、動きやすさと圧迫感のバランスを確認する必要があります。生地がしなやかに体に追従し、動作を妨げないかを確認しましょう。天候やTPOに応じて、複数のアイテムを柔軟に組み合わせて使えることが理想的です。なお、ファンを搭載したレインウェアも市場には存在しますが、防水性との両立やコストパフォーマンスを踏まえると、防水はレインウェア、冷却は専用グッズというように、それぞれ得意領域の商品を組み合わせて使う方が現実的といえるでしょう。

現場ごとに変わる『冷やし方』。自社の管理体制に落とし込むには

株式会社トキワ|現場ごとに変わる「冷やし方」。自社の管理体制に落とし込むにはを表すイラスト(レインウェア・熱中症)

ここまでの内容を、自社の現場に当てはめて考えてみてください。

  • 従業員は走行風を強く受ける現場にいるか
  • 静音性が求められる現場か
  • 屋外滞在時間はどれくらいか

これらを棚卸しした上で、レインウェアの防水性能とは別に、冷却グッズの導入・貸与ルールを整備することが、総務・安全管理担当者に求められる役割です。冒頭でも触れた労働安全衛生規則の改正による義務化の流れを踏まえても、装備の役割分担を社内ルールとして明文化しておくことは重要な取り組みといえます。

雨の日も、暑い日も、現場で働く人の安全を守るのは、1つの製品ではなく、装備全体の設計思想です。防水はレインウェアに任せ、冷却は別の道具に任せる。この役割分担の発想は、これからの屋外業務における熱中症対策の一つの選択肢になるのではないでしょうか。

屋外業務向けレインウェアの選び方や、アイスベスト等現場に合わせた熱中症対策グッズとの組み合わせについてお困りの際は、お気軽にご相談ください。サンプルのご確認・企業様向け一括発注もお気軽にご相談いただけます。

参考文献